第17話 レオ 対 凶悪4星人
マグマ星人、メフィラス星人、ナックル星人、ヒッポリト星人の凶悪4星人が地球に攻撃してきた。MACとレオ、アストラで迎え撃ったが、マックホークは撃墜されてしまった。劣勢の中、モロボシ隊長のサイコキネシスの力を借りて、レオとアストラは起死回生のウルトラクラッシャーを放った。それにより4星人はダメージを受けて後退していった。しかしエネルギーを使い果たしたモロボシ隊長は意識不明となり、戦いの中でアストラは重症を負って倒れた。このさき、地球はどうなってしまうのだろうか。
医療室ではドクターユリが青ざめて患者を診ていた。モロボシ隊長は衰弱してしまって意識が戻らなかった。今までにない症状なのでドクターユリにはどうにもできなかった。またアストラも全身に傷を負っており、予断を許さない状況だった。何より2人が異星人であるためドクターユリでもわからないことだらけだった。
(ダン、目を覚まして。)心の中で叫ぶが、表面上は冷静を装っていた。
ゲンも傷を負いながらアストラに寄り添っていた。
(アストラ。すまない。こんなことならおまえだけでも逃がしてやればよかった。)後悔の念がゲンを襲っていた。
司令室では混乱していた。何とか2人の赤い巨人の助けをうけて星人を撃退できたが、もう一度襲ってきたらどうなるかはわからない。入院しているモロボシ隊長に変わり、クロダチーフが指揮を執っていた。
(なんとかマックホークが使えるようにならないと。)4号機を除きすべてが損傷したり、破壊されたりしていた。予備機や回収した機を修理してなんとか数をそろえねばならなかった。各々の隊員ががんばっているが間に合うかどうかはわからない。救いはモロボシ隊長を除き、負傷しているものの隊員全員がそろっていることだった。
ゲンが司令部に戻ってきた。
「隊長の様子はどうだった。」クロダチーフが聞いた。
「まだ意識が戻らず、昏睡状態です。」
「そうか。隊長が戻るまで我々だけで何とかするしかないか。ゲン、君もマックホークの整備を手伝ってくれ。」
4人の星人たちは月の裏で受けたダメージを癒していた。
「油断した。傷が癒えたら今度こそ地球を破壊してやる。」
メフィラス星人とナックル星人とヒッポリト星人は口々に言った。それをマグマ星人は満足そうに見ていた。
(まだ戦意は衰えていないようだな。フフフ、こいつらを使ってまだやれそうだな。)
4人の星人の攻撃は近そうだった。
格納庫では隊員たちが整備を手伝っていた。
「あの2人の赤い巨人はまた助けてくれるかな。」カジタ隊員が言った。
「異星人を当てにしてもどうしようもない。我々だけで何とかしなくちゃ。」アカイシ隊員が返した。
「でもな、冷静に見て、あの赤い巨人がいなかったらどうにもならないだろう。」アオシマ隊員が横から言った。その時ゲンが現れた。
「おい、ゲン。おまえも見ただろう。赤い巨人を。」アカイシ隊員が呼び止めた。
「ええ。」ゲンは困惑しながら答えた。
「気のない返事だな。」アオシマ隊員が言った。
「ゲンは地上にいたから、赤い巨人たちの戦いをすべて見ていただろう。彼らはまた来てくれるかな。こちらの準備ができるまで何とかしてくれたらいいが。」
ゲンは、アオシマ隊員がレオとアストラに過度に頼っているのを不安に思った。
(アストラは重症だし、モロボシ隊長は意識不明だ。自分一人ではどうにもならないかもしれない。)
「来ないかもしれませんよ。地球はやはり地球人で守らないと。」ゲンはやや強く言った。
「そんなことはわかっているさ。」アオシマ隊員はやや怒ったように言った。
アカイシ隊員とカジタ隊員はあきれたように見ていた。
司令室で急に警戒警報が鳴った。4人の星人が再び動き出したようだった。シラカワ隊員が、
「警戒衛星からです。4人の星人をとらえました。」
そこへ格納庫から隊員たちが駆け付けた。クロダチーフが言った。
「到着場所はどこだ。」
「前回と同じです。データを送ります。」
「あいつら、こっちを甘く見てるんだ。同じところに来やがった。」アカイシ隊員は言った。
「マックホークの準備はどうだ。」クロダチーフが言った。
「1号機、4号機は発進できます。」
「よし、いくぞ。」
星人たちは地上に着くと暴れ始めていた。周りの建物を破壊して回った。マックホークが到着すると、ヒッポリト星人を先頭にして光線で攻撃してきた。
「攻撃!」クロダチーフの命令とともにミサイル攻撃が始まった。しかしマックホーク2機だけの攻撃であり、効果は少なかった。反復攻撃するが、ヒッポリト星人だけでも止めることはできない。他の星人たちは街を破壊していた。
「マックホークだけではだめだ。4号機はマックロディーを下ろしてくれ。1号機はベータ号を分離。」クロダチーフが命令した。
4号機はゲンをのせたマックロディーを下した。地上から星人にマックロディーが接近した。1号機はアカイシ隊員が乗ったベータ号を分離した。再び星人たちに挑んでいった。
病室ではモロボシ隊長が目を覚ました。戦いの音を聞き取ったとかもしれなかった。半身を起こすと、通信機で司令室を呼び出した。
「今、どうなっている?」
「また4人の星人が東京に現れ、攻撃しています。場所は・・・。」シラカワ隊員が応答した。
「全員、出動しています。」
「よし、わかった。」モロボシ隊長は立ち上がるが、すぐによろめいて壁に手をついた。病室に入ってきたドクターユリが叫んだ。
「ダン、何をしているの。まだ寝ていないとだめだわ。ベッドに戻って!」
「いや、アンヌ。行かせてくれ。どうしても行かなくちゃならないんだ。」
「その体で何ができるというの。」
モロボシ隊長はしっかりと立った。しかし無理をしているようだった。
「もう、大丈夫だ。心配ない。」ドクターユリを押しのけてドアから出ていった。
「いったん言ったら聞かないから、あきらめるわ。くれぐれも無理しないでね。」
背後で聞こえる声に
「ああ。」と答えながら、ふらつきながらも歩いて行った。
戦況は思わしくなった。4号機はすでにやられて不時着した。1号機とベータ号もヒッポリト星人の攻撃にさらされていた。地上のマックロディーも光線ではね飛ばされた。ゲンは危うく脱出してその場を逃れた。星人たちはますます暴れていた。このままでは街は破壊尽くされるのは確実だった。ゲンは必死の思いで変身した。
4人の星人はレオの方を向いた。レオは走って向かって行く。星人たちにたどり着く前にヒッポリト星人の光線をあびた。よろめくレオ。そこにメフィラス星人とナックル星人がやってきてパンチとキックで攻撃した。倒されるレオ。それを足蹴にしていく。全く1人では歯が立たない。
さらに足蹴にしようとしたが、転がってなんとか逃れた。そして起き上がると右手を上げた。エネルギーブレスレッドが輝いた。星人たちはややたじろいだが、構えて発射を待っていた。レオはエネルギー光球を放った。星人たちはそれぞれバリアを張った。エネルギー光球が当たり大きな爆発が起こった。煙がたちこめてあたりを覆った。煙が晴れると星人たちは何事もないように立っていた。
レオは驚いてもう一度エネルギー光球を出そうとしたが、その前に星人たちがレオを捕まえた。レオは暴れて星人たちを振り払うと、エネルギーソードを出して振り回した。そこにヒッポリト星人はまた光線を浴びせた。レオは片膝をついたが、すぐに飛び上がりヒッポリト星人にレオキックを見舞おうとした。しかし横からナックル星人に体当たりをされて、地面に倒れた。
モロボシ隊長がマックカーで到着して、すぐに車を降りた。ふらつきながらも両腕を胸の前で組んだ。サイコキネシスを使おうとした。しかし今のモロボシ隊長の体力では無理だった。力をこめるがサイコキネシスは発動せず、モロボシ隊長をますます弱らせるばかりだった。よろめいてマックカーにもたれかかった。
星人たちに囲まれて、レオのピンチは続いていた。カラータイマーは点滅していた。弱って倒れたレオをマグマ星人はサーベルを真っ赤に染めて、突き刺そうとした。
衰弱したモロボシ隊長は
「レオ。」と言うのがやっとだった。
しかしそのとき、上空に何かが光った。マグマ星人がまぶしそうに空を見上げた。それは4つの光で、流れ星のように地上に降りてきた。
そして背後に大きな音と地響きがした。星人たちは振り向いた。するとゾフィーが降り立った。その右にウルトラマンが降り立った。またさらにウルトラマンジャック、ウルトラマンエースが並んで降り立った。4人のウルトラ兄弟が横1列に並んだ。そして星人に対して構えの態勢をとっていた。彼ら4人が地球の危機に駆けつけてくれたくれたのだった。
実は前回の戦いの後、モロボシ隊長が意識を失う前にウルトラサインでウルトラ兄弟に助けを求めていた。そのメッセージは遠くM78星雲のウルトラの星まで届いていた。
マグマ星人はサーベルを振り回し、星人たちにウルトラ兄弟を攻撃するように指図した。4人の星人たちは一斉にウルトラ兄弟に向かって行った。
メフィラス星人はウルトラマンに向かって行った。メフィラス星人は光線を放ったが、ウルトラマンは避けた。そして組み合うと、体をひねってメフィラス星人を投げ飛ばした。そして後ろにステップするとスペシウム光線を放った。メフィラス星人は四散した。
ナックル星人がウルトラマンジャックにつかみかかってきた。組み合ってから、お互いにパンチやチョップを放った。ナックル星人はダメージを受けては後ろによろめいて倒れた。そこをウルトラマンジャックは投げ飛ばした。倒れたナックル星人に、ウルトラブレスレッドを投げつけた。ウルトラブレスレッドは剣になってナックル星人突き刺ささり、動かなくなった。
ヒッポリト星人はウルトラマンエースに向かって光線を発射した。その強力な光線をウルトラマンエースはバリアで防いだ。エースは多彩な光線技を駆使してヒッポリト星人を攻撃した。ダメージを受けたヒッポリト星人にメタリウム光線を放った。ヒッポリト星人は倒れて動かなくなった。
マグマ星人はゾフィーと戦っていた。真っ赤なサーベルを振り回すが、しかしゾフィーの力の前に次第に追い詰められていった。他の星人が倒されたの見て、マグマ星人は戦意がなくなったようだった。ゾフィーがM87光線を撃とうとしたときに、上空に逃れていった。
エースがレオを助け起こした。レオは立ち上がった。ウルトラ兄弟はレオの前に並んだ。
「ありがとう。兄弟たちよ。」モロボシ隊長が言った。
ゾフィーはうなずくと、4人の兄弟は上空に消えていった。それをレオとモロボシ隊長が見送っていた。